首都高速道路公団では、平成9年の当公団発注の建築工事での指名業者の独占禁止法違反事件を契機に、総合的な不正行為防止策をとりまとめ、その徹底を図ってきた。当時、業界ごとにあった当公団OB職員の親睦団体も誤解を生ずることがないようにとの配慮で、その際に自主的に解散している。 
 その後、平成14年に他公団において独占禁止法等に違反する不祥事が生じた際にも、当公団としては、職員に対する独占禁止法や公共工事入札契約適正化法の趣旨の徹底、法令遵守委員会の設置等、更に内容を強化したより総合的な「入札・契約に係る不正行為等の防止策」を策定し、組織を挙げてその徹底に取り組んできた。
 今回の日本道路公団の事件についても、これを機会に当公団自身の取組みを再点検し、次のとおり、不正行為等の防止策を更に徹底することとする。
		
						 						
  
						
							
						
	
						
							
						
	
						
						
  
						
			
							1 入札・契約制度の透明性・競争性の向上
				
							(1) 一般競争入札の拡大(新規) 
  現在、1億円以上の工事については、緊急を要する場合等を除き、公募条件及び技術評価を満たす者を全て指名する公募型指名競争入札を実施(事実上の条件付一般競争入札)。
今後、1億円以上の金額要件を撤廃し、全ての工事について緊急を要する場合等を除き、条件付一般競争入札を実施。 
    
(2) 指名停止措置の強化(新規) 
  今般の橋梁談合事件のように、大規模・組織的な談合であって刑事告発等がなされたものについては、厳格な指名停止措置を講じることをルール上明確化。
その際、特に、司法手続等において主犯格であることが明らかになった場合など悪質性が際立つ場合には、最長24ヵ月間指名停止とする等指名停止措置を強化。 
    
(3) 公正入札違約金の引上げ(新規) 
  特に悪質性が際立つ不公正行為があった場合、現行10%の公正入札違約金を5%上乗せして徴収(合計最大15%)。 
    
(4) 入札参加者企業の代表者からの誓約書提出の義務化(新規) 
  全ての入札参加者に対して、入札執行前に、「不正行為には関わらない」旨の誓約書を会社の代表者(代表取締役会長又は代表取締役社長)から提出するよう義務付け。 
    
(5) 現場説明書等の交付を郵送へ全面的切替え(新規) 
  業者間の不公正な接触等の機会をなくすため、入札参加予定者への現場説明書等の手渡し配布を全面的に廃止し、全て郵送に切替え(本社では平成15年度から実施)。 
    
(6) 入札情報等の透明性の向上(新規) 
  入札情報等について、現在開示しているものに加え、年度ごとの契約金額・件数や落札率などをまとめた結果を開示し、一層の透明性を確保。 
    
(7) VE方式の活用 
  価格だけではなく技術力を考慮した入札方式として平成9年度に導入したVE方式の更なる活用を引続き検討。 
    
(8) 指名業者名の事後公表の実施 
  指名業者の事前公表は談合を助長するおそれがあるので、平成15年度から、非指名に係る苦情申し立て機会を担保した上で、事後公表に切替え。 
    
(9) 恣意性を排除した業者選定の手法の導入 
  指名競争入札における業者選定に当たり、乱数表を用いる等恣意性を排除する手法を導入。 
    
(10) いわゆる「不落随契」の原則廃止 
  指名競争入札において、再度の入札でも落札者がいない場合は、平成15年度から、緊急を要するとき等を除き、改めて競争入札を実施。
    
(11) 工事費内訳書の提出の義務付け 
  入札参加者が真摯な見積もりを行っているかどうかを確認する一助として、平成15年度以降、全ての工事において工事費内訳書の提出を義務付け。 
    
(12) 電子入札方式の早期導入 
  民営化後のできるだけ早い時期に、経費が比較的抑えられる外部委託方式により導入。 
    
(13) 新たな調達方式の拡大 
   ①実施設計付競争入札方式 
  実施設計と工事を併せて発注し、原則として工事金額の変更を認めない実施設計付競争入札方式を導入。 
  ②デザインビルド方式 
  価格競争のみではなく技術力での競争性を発揮できるデサインビルド方式について、大規模工事での導入を検討。 
  ③総合評価落札方式 
  民間技術を活用し、価格と品質の両面で優れた工事を調達する総合評価落札方式を平成16年度から導入しており、今後これを拡大。 
				
							
				
							
			
							2 職場における法令遵守と情報管理の徹底
				
							(1) 情報管理の徹底及び部外者の入室規制の強化(新規) 
  情報セキュリティポリシーを策定(平成17年10月)し、内部文書の管理を始めとした情報管理を更に徹底。その一環として、部外者の入室規制を強化し、入室許可証なしの執務室への出入りを禁止。 
    
(2) 予約なしの営業活動の自粛要請を引き続き徹底 
    
(3) 入札談合等関与行為防止法の趣旨の徹底 
  公正取引委員会から講師を招き、講習会を実施。また、「官製談合防止の手引」を関係部署へ配布し、趣旨を徹底。 
    
(4) 内部情報投書箱の設置 
  職員が知り得た様々な不正行為等に関する噂や情報について、公団内部LANを活用し、メール(匿名可)により投書できるシステムを構築。 
    
(5) 相談員制度の確立等 
   部外者から不当な要求や圧力等があった場合に、上司に必ず相談し、相談を受けた上司はその内容を部局長へ報告するよう指導徹底 
 各部局長を直接の相談員とし、また顧問弁護士にも随時相談できる体制を確立。 
    
(6) 法令遵守委員会の設置 
  平成15年度から、弁護士、警察OB、公正取引委員会OBからなる法令遵守委員会を設置。
出先組織(建設局・管理局)における適正な業務執行、外部からの不当要求や不審文書の送付、談合情報等への対応など幅広く指導・監視。 
				
							
				
							
			
							3 独占禁止法及び公共工事入札契約適正化法に関する措置の見直し・徹底
				
							(1) 独占禁止法等の趣旨の徹底 
   ①役職員への周知徹底 
  ②掲示板や入札会場において関係文書の掲示。入札参加企業に対し、指名通知書と併せて文書配布 
  ③元公団職員に対し文書により周知徹底 
 
(2) 疑わしい事案の公正取引委員会への速やかな報告 
  次の情報が寄せられ、又は事実があった案件については、直ちに公正取引委員会に報告。  
  ①談合情報 
  ②ダンピング情報 
  ③再度の入札でも1番札の順位が変わらない「1位不動」の事実 
    
(3) 入札監視委員会による徹底した審査体制の継続 
  談合防止の観点から、入札監視委員会の当番委員が全発注事案をチェックした上で抽出した事案について、委員会において徹底的に審議。
    
(4) 公共工事入札契約適正化法に関する措置の徹底
  ①発注見通しを四半期毎に公表 
  ②入札及び契約の経過・内容を公表 
  ③法の指針により公表又は努力が求められている事項への対応
				
							
				
							
			
							4 人事管理システムの改善及び研修の充実
				
							(1) 重大な法令違反に関与した企業への再就職の自粛(新規) 
  今回の鋼橋工事に係る談合事案に関与した企業については、当該企業においてコンプライアンスが確立したと認められるまでの間、当事者である本人及び関係会社の理解を得て、当公団退職者の就職について自粛を要請。 
    
(2) 役員及び幹部職員の再就職の自粛(新規) 
  公団の役員については退職後5年を経過するまでの間、部局長については退職後2年を経過するまでの間、当事者である本人及び関係会社の理解を得て、公団発注の公共工事の受注実績を有する企業への再就職について自粛を要請。 
    
(3) 早期退職・再就職慣行の見直し(新規) 
  今後、公団(会社)で出来るだけ長く働ける環境を整備し、可能な限り勧奨退職を抑制。 
    
(4) 人事交流の促進 
  職種間人事交流を実施するとともに、他機関との人事交流を促進。 
    
(5) 人事配置の改善 
  業者に対応する部署において、同一ラインの職務に繰り返し就く人事や同一職務での長期滞留をさせない人事配置を徹底。 
    
(6) 誓約書の提出 
  全管理職に対して、高い倫理観を保持し、組織目標の達成のため誠実に職務を執行し、部下の指導・育成を行うなど、管理職としての責任を全うするよう誓約書の提出を義務付け。 
    
(7) 職員研修の徹底・充実 
  工事発注に関する職員を対象とした、公共工事入札契約適正化法、独占禁止法、入札談合等関与行為防止法に関する研修を充実。 
 
以  上