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2000年12月15日

公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画

——目次——

第1 基本的考え方

1. 首都高速道路公団の「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」の位置づけ
2. これまでの取り組み
3. 行動計画の考え方
4. 行動計画の対象
5. フォローアップ

第2 具体的措置

1. 具体的施策の実施に当たっての基本的な視点
2. 具体的施策の実施に当たっての留意点
3. 具体的施策
  3.1コスト縮減の視点
  (1)建設・管理コストの低減
  (2)時間的コストの低減
  (3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)
  (4)効率性向上による長期的コストの低減
  (5)社会的コストの低減
  3.2コスト縮減の具体的施策例一覧

第1 基本的考え方

1.首都高速道路公団の「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」の位置づけ

 首都高速道路は、首都圏の産業、生活を支える不可欠の社会資本として大きな期待が寄せられている。一方、行財政改革や特殊法人の見直しにおいて、事業運営のあり方の抜本的な見直しが強く求められる中で、首都高速道路公団においては、高速道路の採算性確保、業務執行の一層の効率化、コスト縮減、経営の合理化等の観点から、これまで以上に効率的で透明性が確保された事業運営に取り組んでいかねばならない。

 また、政府としても公共工事のコスト縮減に関する取り組みを引き続き推進するため、平成12年9月1日の「公共工事コスト縮減対策関係閣僚会議」において、新たな行動指針が決定され、同日付けで建設省の新行動計画が策定されたところである。

 首都高速道路公団の「公共工事コスト縮減対策に関する新行動計画」(以下「行動計画」という。)は、これらを踏まえ、首都高速道路公団としての一層のコスト縮減へ向けた取り組みをまとめたものである。

2.これまでの取り組み

 首都高速道路公団においては、従来からコストの削減に努めていたが、特殊法人の整理合理化に関する閣議決定(平成7年2月24日)において、「より徹底したコスト意識のもと、建設費、管理費等の経費の一層の削減を図る」とされたことを踏まえ、平成7年5月に副理事長を委員長とする「業務改善等推進会議」を設置し、業務改善の一環としてコスト縮減を精力的に進めてきたところである。

 また、平成9年1月24日に道路審議会中間答申「今後の有料道路制度のあり方について」における「事業主体である公団等において建設費・管理費の節減計画を策定し、実施すべき」という提言がなされた。さらに、同年4月4日に建設事務次官通知(公共工事のコスト縮減に関する行動計画について)における「より一層の公共工事のコスト縮減に努めるとともに、公共工事コスト縮減のための行動計画の策定に取り組まれたい」という指示がなされた。公団では「業務改善等推進会議」の機能及び機構を発展的に見直した「経営等効率化推進会議」での検討を経て、同年5月30日、建設費について首都高速道路公団の「公共工事コスト縮減に関する行動計画」を策定・公表した。次いで、同年8月25日に、管理費に関する縮減計画と、既に公表されている建設費に関する行動計画とを合わせた「建設費・管理費の縮減計画」(以下「旧計画」という。)を策定・公表した。

 これらの行動計画に基づき、コスト縮減のための諸施策を平成9年度から11年度の3年間、公団全体で取り組んできたことにより、関係職員においては、より安価に良質な高速道路の建設・管理を行う姿勢が強化され、コスト意識の浸透が図られた。

 平成12年9月に行なったコスト縮減のフォローアップの結果によれば、平成11年度までのコスト縮減率は、建設費については9.2%(うち直接的施策7.8%)となり、10%以上(うち直接的施策6%)をほぼ達成した。管理費については12.9%となり、5%以上という旧計画の数値目標を大きく上回る成果をあげた。

3.行動計画の考え方

 これまでのコスト縮減施策により一定の成果が得られたものの、依然として厳しい経営環境の下で引き続き首都高速道路の整備を着実に進めていく必要があり、そのためには、これまで実施してきたコスト縮減施策の定着を図ることや新たなコスト縮減施策を継続的に進めていくことが重要である。

 また、今後に向けては、直接的な工事費や管理費の低減だけでなく、時間的コストの低減、品質の向上によるライフサイクルコストの低減等についても取り組むべき重要な課題となっており、これらも含めた総合的なコスト縮減を図っていく必要がある。

 これらを踏まえ、公団においては、今後も引き続き建設費及び管理費のコスト縮減に積極的に取り組むこととし、平成12年度以降の行動計画を策定することとした。

4.行動計画の対象

 行動計画は、平成12年度から平成20年度までの首都高速道路の建設及び管理に関するコスト縮減を対象とする。

 なお、用地取得に係るコスト縮減は、本計画において対象としていないが、今後とも適切かつ計画的に推進していくこととする。

5.フォローアップ

 行動計画の実施状況については、具体的施策の着実な推進を図るため、公団に設置した経営効率化委員会においてフォローアップする。

第2 具体的措置

1.具体的施策の実施に当たっての基本的な視点

 行動計画においては、建設・管理コストの低減のほか、時間的コストの低減、品質の向上によるライフサイクルコストの低減、効率性向上による長期的コストの低減及び社会的コストの低減を基本的な視点として、建設・管理に関する様々な要素について各種の施策を実施することにより総合的なコスト縮減を目指す。

(1)建設・管理コストの低減

 平成9年度から11年度の3年間の取り組みと同様に、建設の計画・設計等の見直し、管理業務の効率化・手法等の見直し、発注の効率化、建設・管理業務構成要素のコスト低減、新技術・新材料の積極的採用等の施策を講じることにより、建設・管理コストの着実な低減を図る。

(2)時間的コストの低減

 事業箇所の集中化、新技術を活用した工事期間の短縮等により、建設・管理業務の時間的コストの低減を図る。

(3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)

 施設の長寿命化、省資源・省エネルギー化や環境調和型への転換を進めるなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクルを通じてのコスト低減や環境に関するコスト低減を図る。

(4)効率性向上による長期的コストの低減

 建設・管理業務に関する規制改革、建設・管理業務の情報の電子化の推進や新技術の採用の促進等により、建設・管理業務の効率性を高めるとともに、建設業の生産性向上を促し、長期的なコストの低減を図る。

(5)社会的コストの低減

 建設・管理業務における建設副産物対策の推進や環境改善策による環境負荷の低減、交通渋滞緩和、事故の減少等を通じて社会的なコストの低減を図る。

2.具体的施策の実施に当たっての留意点

(1)機能・品質の確保

 公共工事等の価格低減を目指すことが、社会資本が本来備えるべき機能・品質を損なうこととなるのでは、行動計画の趣旨に反することとなる。

 公共工事のコスト縮減については、社会資本が本来備えるべき供用性、利便性、公平性、安全性、耐久性、環境保全、省資源、美観、文化性等の所要の基本機能・品質を満足させた上で、総合的なコスト縮減を目指すものである。

(2)不当なしわ寄せの防止

 具体的な施策によるコスト縮減の裏付けなしに工事価格のみを下げることによって、下請け企業、資機材供給者、労働者等一部の関係者が、不当なしわ寄せを被るような状態を生起させてはならない。

 すなわち、公共工事の価格低減を性急に図るために、いわゆる「歩切り」のような手段をとることは、下請け企業等へのしわ寄せにつながる危険性が高く、適切な手段とは言えない。また、「歩切り」のような手段は、コスト縮減の施策に含んではいない。

(3)不正行為の防止

 公共工事の実施に当たっては、入札談合等の不正行為を防止し、公正な競争を確保することが不可欠であることは言うまでもない。このため、これまで透明性、客観性及び競争性をより高めるための入札・契約制度の改革を実施してきているところである。さらに、この改革と併せて、不正行為を行なった事業者に対するペナルティーの強化、入札談合情報があった場合の公正取引委員会との緊密な連携の確保、独占禁止法等の遵守徹底のための発注者及び事業者に対する講習会の開催、不良不適格業者や一括下請負の排除、監理技術者の専任制や施工体制の確認、予定価格及び入札結果の事後公表等の各種の措置を講じてきたところである。

 今後とも、公共工事の入札・契約制度改革の一層の推進を図るとともに、本年成立した「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、透明性の確保、公正な競争の促進、厳正な施工の確保及び不正行為の徹底に努め、適切な公共工事等のコスト形成に資することとする。

3.具体的施策

 行動計画においては、以下の5分野について各種施策を平成20年度末までに実施する。これらの施策は、建設省における「公共工事コスト縮減対策に関する行動計画」のフォローアップを参考にしつつ、公団における旧計画のフォローアップにおいて継続が必要とされた個々の施策を盛り込むとともに、公共工事コスト縮減の基本的な考え方を踏まえて計画から施工・管理に至る各分野を対象に網羅的に総点検を行ない、具体的に取り組むべきこととした施策も盛り込んでいる。

 なお、行動計画策定後も、社会経済情勢の変動に的確に対処しつつ引き続き新たにコスト縮減に資する事項の調査等を進め、必要に応じて実施すべき施策として位置付けていくものとする。

 また、このコスト縮減効果については、原則として従来からの手法により計測するものとするが、これによることが適当でない施策については、当該施策の特性に応じ、できるだけわかりやすい指標により計測するよう努める。

(1)建設・管理コストの低減

 平成9年度から11年度までの3年間の取り組みと同様に、工事の計画・設計等の見直し、管理水準等の見直し、工事発注の効率化、工事構成要素のコスト低減、工事実施段階での合理化等の具体的施策を継続・充実して実施することにより、建設・管理コストを低減する。

 これらの施策の実施によるコスト縮減効果については、旧計画同様、費用に対する縮減率で表すことにし、縮減率は、施策適用前後の比較設計による縮減額の積み上げや建設物価の実質変動率等により算定する。

  1)-1建設の計画・設計等の見直し

   a.計画手法の見直し
   b.技術基準等の見直し
   c.設計方法の見直し
   d.技術開発の推進
   e.積算の合理化

  1)-2管理業務の効率化・手法等の見直し


  2)発注の効率化等

   a.建設・管理業務の平準化
   b.適切な発注ロットの設定
   c.入札・契約制度の検討
   d.諸手続の電子化等


  3)建設・管理業務構成要素のコスト低減

   a.資材の生産・流通の合理化、効率化
   b.資材調達の諸環境の整備
   c.優良な労働力の確保
   d.建設機械の有効利用


  4)建設・管理業務実施段階での合理化・規制改革等

   a.労働安全対策
   b.交通安全対策
   c.環境対策
   d.建設副産物対策
   e.埋蔵文化財調査
   f.消防基準、建築基準等


(2)時間的コストの低減

 個々の建設・管理業務の効率的な実施は、早期の便益発現や事業資金の金利負担の低減などの時間的コスト低減の効果をもたらす。このため、事業箇所の集中化、新技術の活用による工事期間短縮などにより時間的効率性の向上を図る。

(3)ライフサイクルコストの低減(施設の品質の向上)

 公共工事によって整備される各種の施設については、「より良いものをより安く」という観点から整備していく必要があることは言うまでもないが、それだけではなく、より耐用年数の長い施設、省資源・省エネルギー化に資する施設、環境と調和する施設等の整備を推進するなど、施設の品質の向上を図ることにより、ライフサイクルを通じてのコストの低減や環境に対する負荷の低減を図る。

    a.施設の耐久性の向上(長寿命化)
    b.施設の省資源・省エネルギー化(運用、維持管理費の低減)
    c.環境と調和した施設への転換


(4)効率性向上による長期的コストの低減

 民間企業の有する技術力を公共工事において積極的に活用することにより、建設・管理業務の効率性が高められるとともに、建設業の生産性向上を促し、長期的なコスト低減が期待できる。具体的には、各種の規制改革等を通じた効率性の向上、新技術の活用を促すような環境整備、業務の情報の電子化や電子交換等の実施、建設業における情報通信技術(IT)の利用拡大、入札・契約制度の的確な運用等を通じた不良・不適格業者の排除等を通じて、長期的なコスト縮減を図る。

   a.規制改革
   b.情報の電子化
   c.新技術の活用

(5)社会的コストの低減

 公共工事においては、先導的に建設副産物対策や環境対策、安全対策を実施していくことが求められている。これらの施策の中には、直接的な建設・管理コスト低減にはつながらないものもあるが、社会的コスト低減の点で重要な施策であり、今後とも引き続き積極的に対応していくことが必要である。このような観点に立って、建設・管理業務における建設副産物対策の推進や環境対策による環境負荷の低減、交通渋滞緩和、事故の減少などを通して社会的なコストの低減を図る。

   a.リサイクルの推進
   b.建設・管理業務における環境改善
   c.建設中・管理業務実施中の交通渋滞緩和対策
   d.建設中・管理業務実施中の安全対策

3.2 コスト縮減の具体的施策例一覧


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