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プレスリリース
(2006年度)

2006年10月18日
首都高速道路株式会社

会長・社長会見(平成18年10月17日) 民営首都高の重要施策について
~民営化1周年を迎えて~

 首都高速道路株式会社は、10月で民営化1周年を迎えました。
 当社の使命は、首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献することにあります。
 この1年間、こうした使命に基づく民営化を軌道に乗せるため、中期経営3カ年計画「PROJECT SHUTOKO 2008」の策定、お客様の視点に立ったサービスの向上や利用促進、コスト管理の徹底などを進めるとともに、埼玉新都心線の供用等のネットワークの着実な整備を推進してきました。
 首都高では、新しい民営会社としての経営基盤を強化するため、経営者層から第一線の職員の意識改革や人材育成、外部有識者による経営監視体制の強化に努めてきたところです。
 お客様にとっての利便性を向上する上で、当社の最大のテーマは渋滞解消です。全国の高速道路の渋滞の6割が首都高で発生しており、時間単価の高い東京での渋滞による時間の浪費が国全体に与える影響は計りしれず、経済損失は年間1,300億円に上ります。
 このため、首都高では、3年後の渋滞半減、10年後の渋滞解消を目指して、首都高渋滞対策アクションプログラムを策定し、ネットワーク整備とボトルネック対策等を推進しています。
 その中でも、中央環状新宿線及び品川線などの路線は、首都圏で整備が進められている「三環状道路」からなるネットワーク構築において重要な役割を果たし、渋滞の解消に大きく寄与するものです。
 今年度は、利便性の向上のためのネットワーク整備の要である中央環状品川線の事業に着手するとともに、首都圏全体における料金体系のあり方を踏まえつつ、新たな料金制度についての検討を平成20年度を目標に展開してまいります。

●ネットワーク整備の推進(中央環状線の整備)

 現在建設中の中央環状新宿線は、4号新宿線~5号池袋線間が平成19年12月に、残りの3号渋谷線~4号新宿線間が平成21年度中に開通する予定です。中央環状新宿線の開通で湾岸線の葛西ジャンクションから3号渋谷線の大橋ジャンクションまでがつながり、中央環状線全体47kmの8割が完成することになります。これにより首都高の渋滞は半減、池袋~新宿~渋谷の所要時間が50分から20分へと30分短縮します。
 今年度はさらに、3号渋谷線~湾岸線までの中央環状品川線9.4kmの建設に着手し、平成25年度の完成を目指しています。
 将来、中央環状線が全線開通すると首都高の渋滞はほぼ解消されます。渋滞解消により車両の走行速度が向上してCO2を年間約40万t削減し、都市部の環境改善に大きく貢献します。また、所要時間の短縮や生活道路等の事故の減少などによる経済効果は新宿線・品川線あわせて年間約3,000億円を見込んでいます。
  なお、品川線においては、品質確保とコスト削減を図るため、長距離・大断面シールド(延長8㎞、外径12.5m)工事に「技術提案価格交渉方式」という新たな契約方式を採用しています。

●ETCの普及促進

 ETCは、料金所周辺での渋滞緩和や環境改善といった効果をもたらすとともに、きめ細やかな料金設定等を通じて適切な交通誘導や道路ネットワークの有効活用を可能とするなど、適正な道路交通管理を行う上で重要なシステムであり、国が主体的に推進すべき国策と認識しています。また、対距離料金制の根幹となるシステムとしても機能するものです。
 これらのことから、当社では、道路事業者として、ETCの設置費用支援やワンストップサービスの実施など、ETCの普及促進に力を注いできたところです。
 その結果、現在、ようやく、首都高のお客様の約71%の方にETCをご利用いただけるまでになっています。
 しかしながら、一都三県におけるETC車載器の取り付け台数は、自動車保有台数約1,600万台のおよそ30%にあたる約490万台にとどまっており、対距離料金制の移行に向けETC利用率を95%に引き上げるためには、まだ500万台以上でETC車載器が設置されるようその普及を図る必要があります。そのため、NEXCOなど他の道路事業者と共にETCの更なる普及に努めて参ります。
 このため、当社としては、ETC車載器の設置支援策の拡大など、ETCの一層の普及に引き続き全力を挙げて取り組むとともに、他の道路事業者とも連携を図り、国に対してもETC普及促進策の強化を働きかけて参ります。

●対距離料金制の導入に向けた検討

 首都高速道路の整備を支える料金については現在料金圏別均一料金制をとっていますが、これは東名や中央道などと比較した場合、長距離利用者には割安な反面、短距離利用者には割高となっています。ネットワークが拡大する中で不公平感が増大しており、利用距離に応じたより公平な料金制度への移行が必要です。利用距離に応じた料金制度への移行により、お客様が短い区間等で首都高を気軽にご利用いただけるようになります。また渋滞区間を避けるため、一度一般道に出て、再度首都高に乗り直す等一般道と首都高を状況に応じて乗り継ぐことも容易となるメリットがあり、渋滞緩和や環境問題の改善にも寄与すると考えられます。
 首都高の民営化にあたっては、道路関係公団民営化のスキームにおいて、必要な投資や管理費の償還財源を確保することを前提に、利用の程度に応じた公平な負担という考え方に基づき対距離料金制への移行を図ることとされており、債務の償還もそれを前提としています。
 このため、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と締結した協定では、平成62年度までに債務の償還を終えることを前提に機構への貸付料の支払いが定められています。貸付料の支払いに必要となる料金収入は対距離料金制への移行を前提に確保することとし、平成18年度の約2,631億円から平成22年度に約3,110億円、平成32年度には約3,820億円とすることが決められています。
 新たな料金の制度設計に当たっては、機構との協定や、首都圏での料金体系の一元化、環状道路利用促進や会社間乗継割引など、利用者が利用しやすくかつネットワークとしての効用が十分発揮されるような首都圏全体における料金体系のあり方を踏まえつつ検討を進めます。
 また、長距離利用者の負担軽減等のお客様や地方議会からの意見を踏まえることが必要と考えており、引き続き幅広いご意見を伺いながら検討を進めてまいります。その一環として「首都高の料金に関する懇談会」を明日(平成18年10月18日)設置し、対距離料金制への移行等について幅広くご意見をいただくこととしました。今後、国、地方公共団体等の関係機関と課題の整理を行いながら、より使いやすい料金となるよう平成20年度の制度導入に向けて準備を進めてまいります。

●お客様サービスの向上

 首都高では、PAのリニューアルやコンビニのPA初誘致などを実施しており、今後ともお客様に満足いただける質の高いサービスの提供に取り組んでまいります。
 さらに、民営化を契機に、学識経験者等に参加いただく「首都高辛口応援団」を開催し、今後の首都高が目指すべき施策について自由な発想で提言いただきました。提言いただいた内容については、実現できるものから既に実施に着手していますが、今後、スピード感を持って実現に向けた取り組みを進めてまいります。

●老朽化した構造物の維持更新

 首都高開通から40年が経過した今日、供用してから30年以上の長期間を経過した構造物は全体の約4割に達しており、20年後には4分の3以上に達します。
 長期間過酷な交通にさらされた構造物には老朽化に伴う損傷が発生することから、集中的な補修・補強が急務であり、アセットマネジメントの考え方を活用しながら補修を着実に実施しているところでありますが、抜本的には、今後橋梁架け替えなどの大規模な改築が必要となってきます。その際大規模改築工事を円滑に実施するためには長期間の通行止が避けられず、ネットワーク整備による代替路確保が欠かせません。
 加えて、首都高では他の高速道路と比べても構造物の比率が極めて高く95%に上ることなどから、建設・維持管理コストが割高となり、老朽化した構造物の維持更新についての負担のあり方についても広範な議論が必要と考えています。

お問い合わせ

首都高速道路株式会社
経営企画部 総合調整グループ
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広報室
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