プロジェクトストーリー Project Story

プロジェクトの中心は「人」。 多くの関係者が一丸となって 実現した神奈川局新社屋建設

神奈川局新社屋建設

首都高では前例のない規模の、事務所建物兼防災拠点の建設プロジェクトを成功に導いた背景には、社員一人ひとりが持つ高い技術力に加え、「良いものを作り上げる」という想いのもと、関係者一丸となった取り組みがありました。ここでは同プロジェクトに携わったメンバー3人へのインタビューを通じ、神奈川局新社屋プロジェクトに込められた想いに迫ります。

神奈川局旧社屋は築50年以上経過しており、建物の耐震性や津波浸水などへの不安から、防災拠点としての事業継続性の確保ができないおそれがありました。その問題を解決するために、2021年4月にみなとみらい21地区に誕生したのが“神奈川局新社屋”です。神奈川地区における道路管理を24時間365日休まず行うとともに、災害時の防災拠点として、その役割を果たす神奈川局新社屋。低層階には、首都高の事業や防災・交通安全対策などの取り組みを学べる「首都高MMパーク」が併設されています。首都高の新たな顔として存在感を放つ、同施設の建設プロジェクト推進の秘訣はいったい何だったのでしょうか。

Project Movie約4分10秒

神奈川局新社屋建設プロジェクト

チームや会社の壁を越え、
全員で良いものを作り上げていく

K.Onai

技術系総合職(建築)
技術部 施設技術課
理工学部卒 2008年キャリア入社

2008年のキャリア入社後、西東京管理局 保全設計第二グループに配属。その後、異動・出向などを経て、神奈川局新社屋建設プロジェクトに従事。現在は技術部 施設技術課に所属。

神奈川局の旧社屋は、防災拠点としての機能維持に課題があり、それを克服するために新社屋移転が必要となりました。安全性はもとより、環境配慮や機能性も求められ、その内容を建物計画に反映し、一日も早い完成が期待されたプロジェクトでした。

しかしながら、計画地は首都高みなとみらい出入口に接する敷地であるとともに、一般街路からの車両出入口が限定されることから、歩道上のインフラ施設を移設しなければならないことが判明しました。また、みなとみらい大通りの下に配置されている共同溝から地域冷暖房や電力、通信の引き込みも必要でした。みなとみらい21地区が定める、地域の思想に沿った建築計画も求められており、プロジェクト全体が抱える課題は、どれも一筋縄ではいかないものばかり。私は建築担当として、建設プロジェクトの推進および建築設計を担っていましたが、とても一人の手に負えるようなものではありませんでした。

そこで建物工事においては、建築のみならず、機械、電気、設計協力会社から施工者まで、多くの仲間の協力を受けプロジェクトを進めました。例えば、通常、インフラ施設の移設に際しては個別協議で調整するところを、横浜市をはじめ、インフラ会社、開発事業者での総勢28団体による調整会を開催。密にコミュニケーションを図ることで、当初4年かかると言われた調整を約2年でまとめ、インフラ移設を完了することができました。プロジェクトを進めるためには、何よりも人が重要です。チームや会社に関係なく、全員が良いものを作りたいという意思を持って調整を行ったことで、良い結果につながったと感じています。

困難なことは多くありましたが、終わってみるとどれも良い経験です。何より、いま新社屋で働いている社員から、良い建物だと感謝されたことが本当に嬉しかったです。計画から設計、施工などを含めて約10年、多くの関係者の方が関わり、各自が自分のポジションで努力し成果を出すことで、本プロジェクトが達成できたことは、首都高の誇りだと感じています。

本社や受注者など、
多くの方の支えとともに

T.Okamura

技術系総合職(電気)
更新・建設局 施設工事事務所
総合理工学研究科卒 2018年新卒入社

2018年の新卒入社後、保全・交通部 交通・システム室 システム技術課に配属。その後、神奈川管理局 施設管制所へ異動し、神奈川局新社屋建設プロジェクトに従事。現在は更新・建設局 施設工事事務所に所属。

私が本プロジェクトを知ったのは、入社前のことでした。内定後、実際に新社屋の施工現場を見学させていただき、「こんな大きなプロジェクトに携われるんだ!」と、気持ちが高揚したことを覚えています。入社2年目に、神奈川局新社屋建設プロジェクトの一員として携わることが決まったときは、本当に嬉しかったですね。

プロジェクトにおける私の担当は、首都高を維持管理する上で必要不可欠な交通管制室や施設管制室の、設備移設に伴う工事監督を行うことでした。交通管制室および施設管制室は24時間365日休まず稼働しており、事故や障害などの事象が発生した際でも安全・安心な高速道路を維持するために欠かせない、首都高を守る司令塔です。いかにして、管制機能に影響が出ないように移設業務を進めるか、各設備の移転方法や設備移転時の対応など関係部署と調整し、慎重に対応していく必要がありました。

実際の業務を進める中で、大きな問題となったのは「縮退運用」についてです。縮退運用とは、各設備の機能は制限しながらも、管制業務に必要な最低限の機能は維持し管制業務を続けること。神奈川局新社屋に導入した設備の多くは新設ではなく、旧社屋からの移設で賄う必要があったため、この縮退運用は避けては通れず、機能が制限された箇所をどうカバーするかが問題となりました。そこで、交通管制や施設管制を行っている関係部署やグループ会社の皆さまへ協力を仰ぎ、監視体制の強化や代替設備の運用など様々なことをお願いしました。これにより、縮退運用で制限された機能を補うことができ、大きな問題が発生することなく移設を完了することができたんです。

プロジェクト全体を振り返ると、搬入計画の見直しや工程の調整、移設に向けたシステム改修など、多くの問題に直面しましたが、そのたびに、神奈川局の仲間はもちろん、本社や受注者など、多くの方に支えていただきました。皆さまと助け合い、移設にこぎつけることができた喜びは、一生の思い出となりそうです。

コミュニケーションを密にとり、
あらゆる問題に対処していく

K.Nakata

技術系総合職(機械)
技術部 施設技術課 
工学研究科卒 2018年新卒入社

2018年の新卒入社後、東京西局 施設保全設計課に配属。その後、神奈川管理局 施設管制所へ異動し、神奈川局新社屋建設プロジェクトに従事。現在は技術部 施設技術課に所属。

私の担当は機械チームの一員として、空調・換気・給排水・衛生設備・消防設備・インタンク施設(自家用給油施設)といった、機械設備工事の工事監督を行うことです。特に首都高としては初となる地域冷暖房の導入や、2例目となるインタンク施設の導入実績を残せたことは、自分のキャリアに大きくプラスになったと感じています。

プロジェクト全体を通して印象的な出来事は、工事の中盤、コロナ禍等の影響から工程を約3カ月短縮する必要が生じたことです。BIMによる3Dモデル等を用いて設備の計画や配置の再検討を進めながら、最終的には使用材料の見直しも検討し、可能な限り工程短縮を図りました。

その際、特に意識したことは、関係各所との連携を密にとることです。前例のないプロジェクトということもあり、予期せぬ問題にすぐに対応できるよう、あらかじめ当社の設計課、施設管制所の各担当、受注者の皆さまの間で問題の共有を常に行うようにしていました。その甲斐があり、実際に課題へ直面した際も、経験豊富な受注者の皆さまに助けていただきながら、工程短縮を達成することができました。まさに関係者一丸で事業が推進されたプロジェクトだと感じています。

正直、配属が決まったときは、首都高として前例のない大規模プロジェクトということで、不安な気持ちもありました。ですがそれ以上に、楽しそうだとも思えたんです。ここで身につく経験は今後のキャリアで必ず生きると思いましたし、心強い仲間の存在もありましたしね。振り返ってみると、あの時ワクワクした気持ちは間違っていなかったですし、首都高でこのプロジェクトに携わることができて本当に良かったと、自信を持って言えます。