プロジェクトストーリー Project Story

社員一人ひとりの力を合わせ、 10年越しの想いが実を結んだ 首都高初のハイウェイオアシス

川口ハイウェイオアシス

川口ハイウェイオアシスは、2022年4月に全体開業した川口市の施設です。当社は川口市との各種協定に基づき、コンセプトづくりから深く携わり、開業後も首都高グループ一体となって管理を受託するとともに、レストラン施設等の運営を行っています。

首都高初となるハイウェイオアシスを成功に導いた背景には、社員一人ひとりのポテンシャルの高さと部署の垣根を超えた圧倒的なチームワークがありました。ここでは同プロジェクトに携わったメンバー4人へのインタビューを通して、川口ハイウェイオアシス整備プロジェクトに込められた想いに迫ります。

2022年4月25日、首都高の川口パーキングエリアと川口市のイイナパーク川口(赤山歴史自然公園)を連結し、首都高初のハイウェイオアシスとなる“川口ハイウェイオアシス”が誕生しました。ハイウェイオアシスとは、高速道路の休憩施設と都市公園等とを一体的に整備し、高速道路の利用者に潤いのあるスペースを提供するとともに、都市公園等の利用増進を図る施設です。これにより、高速道路からのみ利用可能だったパーキングエリアに一般道からもアクセスが可能となり、商業施設や屋内遊具施設を利用できるようになりました。従来の川口パーキングエリアを支えていただいたビジネスユーザーに加え、ファミリー層まで広く楽しんでいただける施設となった川口ハイウェイオアシスは、どのようにして誕生したのでしょうか。

Project Movie約4分50秒

川口ハイウェイオアシス

広い視野を持ち、
プロジェクトを見渡す司令塔として

Y.Onishi

事務系総合職
財務部 決算課
経済学部 経済学科卒 2020年新卒入社

2020年の新卒入社後、1年目は事業開発部 事業推進課に配属となり、川口ハイウェイオアシス事業に従事。その後、同部内の事業企画課へ異動。現在は財務部 決算課に所属し、主に連結決算を担当する。

2022年4月25日午前9時前、会社のオフィス内に設置されたモニター前には、息をひそめて開業の瞬間を待つ社員たちの姿がありました。オープンを迎え、最初の1台が川口ハイウェイオアシスに入った瞬間、社内が歓声の渦に包まれたことを覚えています。喜びを分かち合う人、安堵に胸を撫でおろす人、これからこの場所を盛り上げていくぞと気持ちを新たにした人、皆それぞれの想いが溢れた瞬間だったのではないでしょうか。2020年に入社した私も、着想当時の資料を読み返したり、上司や先輩方からいくつもの苦労話を聞いたりしていたので、胸が熱くなったことを覚えています。

本プロジェクトに参画した当時の私は入社1年目で、まだまだ若手でした。配属となった部署は社内において、本プロジェクト全体を管理する立場にあり、言わば社内の交通整理をするポジションでした。社内関係部署が互いに連携し合うため、個別の課題を整理したり、個々の役割を明確にしたりすることで、滞りなく事業が進むように調整を行いました。何しろ大勢の人たちが汗を流して積み上げてきたプロジェクトですから、責任は重大です。開業までひたすらに奔走しました。

開業を目前に控えたころ、1つの課題に直面しました。と言うのも2022年春は、本プロジェクト以外にも、ETC専用化や料金体系の見直しなど全社を挙げて取り組んできたビッグイベントが目白押しだったのです。自社の広報媒体をはじめとしたリソース活用にも限りがあったため、関係各所と調整して開業日を決めました。困難な点はいくつもありましたが、事業パートナーである川口市にもご協力いただき、組織横断的な連携を実現したことで、無事開業を迎えることができました。先輩や上司、これまで長くプロジェクトに関わってきた人たちとのチームプレイがなければ、なし得なかったプロジェクトだったと感じています。

壮大な工事を成功に導く
首都高のチーム力

R.Tsukamoto

技術系総合職(建築)
東京西局 施設保全設計課
理工学部卒 2019年キャリア入社

前職はハウスメーカーに勤務。2019年にキャリア採用で首都高速道路株式会社へ入社し、川口ハイウェイオアシス事業に建築工事担当として着任する。現在は東京西局 施設保全設計課に所属。

私はここにいるメンバーの中で唯一のキャリア入社です。以前はハウスメーカーに勤務し、主にアパートやマンションの設計を担当していました。しかし、よりスケールの大きな建物に携わりたいという想いが強くなり、そのためにはひとりではなくチームプレイの文化が盛んな職場で働きたいと感じていました。実際、首都高に入社してから上司や先輩、同僚と連携しながらプロジェクトを成功に導く手ごたえを感じており、私にとって本プロジェクトはまさにその代名詞とも言える位置づけです。

そのような想いを抱いて入社したため、当時の私にとって川口ハイウェイオアシスの建築工事担当に任命されたことは、非常に嬉しいものでした。一方で、ずっしりとした責任感がのしかかったのも事実です。川口市も絡む一大事業だったので、当社の意見だけでなくステークホルダー全員の意見をまとめ上げ、ベクトルを一つにするために連携を密にすることは最も重要なポイントだったかと思います。

工事が始まってしばらくすると、東京2020オリンピック・パラリンピック大会期間が工期に重なりました。当時、首都高ではオリパラに対応するための特別体制が構築されており、それに伴う変則勤務の中で工事監理業務を行うのは想像していた以上にハードでした。しゅん功前の書類作成で忙しくなった際は、現場の夜間工事立会を上司に変わっていただくこともありました。プロジェクトを成功に導けたのは、周囲の方々の助けがあったからこそです。

また、しゅん功後には、地域拠点整備事業として高速道路利用者と地域住民の双方の利便性向上と地域振興に寄与した点等が高く評価され、(一社)全日本建設技術協会より全建賞を受賞しました。担当者としてプロジェクトに関わることができて、改めて良い経験ができたと感じています。

実はつい先日、2歳になる子どもを連れて久しぶりに川口ハイウェイオアシスを訪れる機会がありました。まだ幼いので当然感想を求めることはできませんが、我が子に自分が携わった建物を見せてあげることができたのはとても嬉しかったですね。

既存のやり方を疑い、
新しいロールモデルを誕生させる

K.Uemura

技術系総合職(土木)
計画・環境部 都市環境創造課
理工学研究科卒
2016年新卒入社

大学院を卒業後、2016年に新卒で入社。設計課や保全管理課を経験したのち、現在は計画・環境部 都市環境創造課にてネットワーク機能強化検討、道路空間の活用検討、沿道環境対策等を担う。

川口ハイウェイオアシス開業を目前に控えたタイミングで私が担っていたのは、工事の調整やそのための広報業務でした。具体的には、川口ハイウェイオアシスへ案内をするための路面文字や緑色の舗装の施工、既設の標識板の取り替え、さらにはパーキングエリア内の大型車の誘導方法変更に関わる調整等です。また、これらの工事に際しては、既存の川口パーキングエリアを閉鎖する必要があり、その広報活動も並行して実施しました。たとえば現地の横断幕や首都高のパーキングエリア等で配布・掲示するチラシ・ポスター、首都高ドライバーズサイト等を用いての広報を行いました。

幸いにも過去に本線通行止めや車線規制を伴う工事をする際の大規模な広報を経験していたため、比較的円滑に業務を進めることができました。ですが、都市高速道路で、用地に限りのある首都高は休憩施設が少ないため、一つのパーキングエリアを閉鎖するとお客さまにとって大きな影響があります。ご不便をおかけすることを最小限にするため、適切な手段で正確に、かつわかりやすく告知する方法を関係部署と調整することは、重要な業務でした。

当社は公共性の高い事業を行う会社であるという性格から、様々な法令の遵守や、行政や地域住民の方々など多くの関係者との調整が必要となります。そのため、新しいことを始めるときは、壁にぶつかることや社内外で反対意見が出てくることはどうしても避けられません。本プロジェクトも同様に、開業に至るまでの長い年月の中で、そのような事態に直面することが多々あったと聞いています。その中で、既存のやり方を疑い、前例がなくとも積極的に新しい提案をしながら事業を進めていく粘り強さが求められたと感じています。そうした試行錯誤の中で得られた数々の知見は、今後の首都高パーキングエリアの運営にも活かされていくと思います。開業から1年以上が経過した今、「この間家族と一緒に行ってみたよ」などの嬉しい声を耳にすることも多いです。振り返ると、今後の首都高の可能性を広げるプロジェクトに携われたことは、とても誇りに思いますね。

地域とのつながりを活かし
施設の魅力を引き出していく

M.Machida

事務系総合職
事業開発部 事業企画課
人文社会学部 人文学科卒
2022年新卒入社

2022年に新卒入社し、事業開発部 事業企画課に配属。現在は駐車場や休憩所、不動産をはじめとした関連事業の予算管理などを担当。

私が現在所属している事業開発部では、駐車場、休憩所、不動産をはじめとした道路事業以外の事業である「関連事業」を扱っています。川口ハイウェイオアシスにおいては、レストラン・カフェ・売店がある商業棟、屋内あそび場「ASOBooN(アソブーン)」がある遊具棟を担当しており、グループ会社の首都高速道路サービスと共に管理・運営を行っています。

私たちのミッションは、新しく生まれ変わったハイウェイオアシスをお客さまにもっと知ってもらい、「行ってみたい」と思っていただける施設を作っていくことです。開業時には、ユーザーが多いYouTubeなどのSNSや、道路走行中もお聞きいただけるラジオで広報を行うなど、これまで関連事業のPRではあまりチャレンジしてこなかった取り組みにも注力しました。大学で日本語学を専攻していたこともあり、「正確に情報を伝えられる表現か?」「お客さまに興味を持っていただけそうな言葉選びか?」などを検討、提案しました。自分の意見が採用されたときは、大きなやりがいを感じました。

川口ハイウェイオアシスの特色は、地元である川口市とのつながりを最大限活かしていることです。たとえば川口市が誇る産業の一つに鋳物があります。レストランなどで川口市産の鋳物羽釜で炊いたご飯を使ったおにぎり・定食を提供したり、施設内に鋳物で作られたものが散りばめられたりしているところも見どころです。昨年からは「イイナフェスタ」というイベントを開催しており、近隣の自治体の方とも連携しながら地元の魅力を発信する取り組みも始めています。首都高は、これまで担ってきた安全・安心を守り抜くぶれない志を持ちながらも、新しいことに果敢にチャレンジしていく2つの顔を併せ持っています。まだまだ若手なので、これから挑戦できる様々な仕事にわくわくする毎日を送っています。